2.情報幾何の基礎知識

参考文献[3],pp32

(6)点の近傍の性質〜Fisher情報計量

 今度は距離を測るための物差しが必要です。その物差しのことを計量とよび、接空間内での物差しを意味します。

 計量にはベクトルの内積が用いられます。ただし通常、内積は各点ごとに少しずつ違っていると考えられます。
 ここで、計量をどのように定義するかが重要なカギとなります。注意しなければならないのは、ここで測りたいのは確率分布間の距離で、距離が近いほど似た分布ということがいいたいのです。

 また、このときの計量は普遍的なものである必要があります。
例えば、
 確率分布族 S={ p(x;ξ) } があったとします。x について一意に決まる y=f(x) による
S'={ p(y;ξ) } についても同じ性質を計量は持っていなくてはなりません。
このために、Fisher計量がもちいられます。
 Fisher計量は、確率分布p(x;ξ)の期待値 E を使って、以下のように定義します。
 (4)
ただし、

なお、期待値 E は以下で定義します。
 (5)
ここではFisher計量の一般的な定義式を示しましたが、指数型分布族で定義される座標系ではもっと単純なかたちになります。

Introductory Study of Information Geometry
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